研究論文
II型糖尿病患者の血液由来単球細胞におけるNADPHオキシダーゼ活性不全のパパイヤ発酵食品(FPP)による調整
Correction of Aberrant NADPH Oxidase Activity in Blood-Derived Mononuclear Cells from Type II Diabetes Mellitus Patients by a Naturally Fermented Papaya Preparation.
Antioxidants & Redox Signaling. 17(3):485-491,2012
糖尿病マウスへのパパイヤ発酵食品(FPP)の投与で、皮膚の創傷治癒が改善した(前報告)。
Ⅱ型糖尿病(T2DM)患者の末梢血単球細胞(PBMC)は、呼吸バースト活性の低下を引き起こすが、これが糖尿病患者の感染症リスクを増大させている。そこで本研究ではこの呼吸バースト活性に対するFPPの効果を検討した。
目的:本研究の目的は、糖尿病患者の末梢血単球細胞における呼吸バースト活性に対するFPPの効果を確認し、FPPのそのような作用の根底にあるメカニズムを理解することである。
結果:ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)で刺激した場合、Ⅱ型糖尿病患者の末梢血単球細胞による活性酸素(ROS)の産生は、糖尿病でない被験者の末梢血単球細胞と比較して、顕著に低下した。
ex vivo でのFPP投与は、Ⅱ型糖尿病患者の末梢血単球細胞における呼吸バーストを改善した。FPPの投与により、NADPHオキシダーゼのサブユニットであるp47phoxの明らかなリン酸化亢進が見られた。
加えて、Rac2のタンパク質およびmRNA発現は、FPP投与後、顕著に上昇した。ヒトRac2遺伝子の近位プロモーターはGCリッチで、Sp1とAP-1のコンセンサス結合部位を含んでいる。
FPPはAP-1 DNA結合活性には有意な影響を与えない一方、FPP投与後の細胞では、末梢血単球細胞におけるSp1 DNA結合活性の上昇が顕著に見られた。
新規性:本研究は、Ⅱ型糖尿病患者の末梢血単球細胞における呼吸バースト活性低下の治療が栄養補助食品により可能であるという証拠を初めて示すものである。
結論:FPPは、Sp1依存性経路を介して、Ⅱ型糖尿病患者の末梢血単球細胞における呼吸バーストの機能を調整する効果がある。糖尿病患者でのFPP摂取による臨床研究の正当性が保証された。
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