研究論文
口腔内におけるパパイヤ発酵食品(FPP)の抗酸化作用
The Antioxidant Effect of Fermented Papaya Preparation in the Oral Cavity.
Phytotherapy Research. 2015
酸化ストレスは、口腔内の疾患をはじめとする様々な病気の発症にかかわっていることが知られている。しかし、酸化ストレスの影響の改善を謳う抗酸化サプリメントの摂取には異論もある。というのは、こうした抗酸化物質の酸化状態を測定する際に、多くの場合生理的ではない条件下で測定されているからである。
本研究では、パパイヤ発酵食品(FPP)の抗酸化能を口腔内で有効な条件下で測定した。
高感度ルミノール化学発光法を用いて、通常の、あるいは病的な口腔内環境に存在する唾液とその構成要素(ムチン、アルブミン)、赤血球、微生物(カンジタ菌)とFPPを混ぜることにより、FPPの抗酸化能が有意に上昇することがわかった(最大20倍、p<0.0001、10 mg時)(図1)。
ポリフェノールは、主な植物由来の抗酸化物質である。食塩水で懸濁したFPP中には非常に少量しかフェノール類は計測されなかった(フォリン - チオカルト法)。しかし、FPPに唾液、アルブミン、ムチン、赤血球を、それぞれ、あるいは混ぜ合わせて、加え懸濁した場合、別々に分析した場合と比較して、ポリフェノールの総量は最大6倍(p<0.001)まで増加した(図2)。
これらの結果は、唾液中のタンパク質によりFPP中の抗酸化ポリフェノールが溶解し、赤血球や微生物に結合することで、その有効性や活性が高められたため、FPPの抗酸化能が上昇したことを示唆している。
図1:ルミノール化学発光法による抗酸化能測定
(a )FPP、唾液、ムチン、アルブミンを単独で測定した場合
(b) FPP、唾液、ムチン、アルブミンを組み合わせて測定した場合
(c) FPP、赤血球、カンジタ菌を単独で測定した場合
(d) FPP、赤血球、カンジタ菌を組み合わせて測定した場合
図2:フォリン-チオカルト法によるフェノール量測定
(a) FPP、唾液、ムチン、赤血球を単独で測定した場合
(b) FPP、唾液、ムチン、赤血球を混ぜ合わせて測定した場合
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2013