研究論文
肝硬変患者のTNF-αとチオレドキシンレベルに対する発酵機能食品による影響
EFFECT OF A FERMENTED NUTRACEUTICAL ON THIOREDOXIN LEVEL AND TNF-α SIGNALLING IN CIRRHOTIC PATIENTS
J Biol Regul Homeost Agents. 25(1):37-45,2011
本研究の目的は、チオレドキシン(Trx) 調整によるレッドクスバランスおよび炎症反応を引き起こす単球の内因的感受性に対する機能性食品の与える影響について更なる洞察を得ることである。
被験者は、肝硬変重症度A~Cに分類されたC型肝炎ウイルス由来肝硬変患者32人で、偏りのないようにFPP摂取群とFPP非摂取群に分けた。患者は1日6gのFPPを6カ月間摂取した。被験者と年齢 /性別が適合した健常者15人をコントロール群とした。患者から採血した血液によりTrx、レドックス状態 (GSH、GSSG、GSH/GSSG比率、4-HNE、α -トコフェロール) を試験した。さらに分離した単球で、生体外でのLPS誘導性TNF-α 産生とTNF-α mRNAを試験した。
コントロール群と比較して肝硬変患者は血清中のTrxが有意に高かったが、FPPの摂取により健康なコントロール群と同程度までTrxが減少した。全ての肝硬変患者は異常なレドックスバランスを示し、重症度Cの患者10人は極度に低いα-トコフェロール値を示していた。FPPの摂取によりα-トコフェロール値の変化は見られなかったが、レドックスバランスは有意に改善された。FPP非摂取の肝硬変患者のTNF-α産生は、通常の場合時間経過とともに上昇し、この影響は病気の進行が進んでいるほど顕著でα-トコフェロール値とも相関を示した。FPPの摂取により単球からのTNF-α産生が有意に抑制された。以上の結果から、肝硬変患者に典型的な酸化炎症状態は、単球レベルでの有意に高いTNF-α 量に反映されており、FPPはその治療の一部として可能性があるかもしれない。
(図1) FPP摂取3ヶ月後の単球におけるTNF - α 生産の生体外LPS誘発試験
(上) TNF - α mRNAの発現量 (下) TNF - α 生産量)
* p < 0.01 対 健康者コントロール群** p < 0.05 対 FPP非摂取肝硬変患者
(図2) FPP摂取による肝硬変患者のTrxの変化
* p < 0.01 対 健康者コントロール群** p < 0.05 対 FPP非摂取肝硬変患者
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