News&Topics
お知らせ
2022/02/17お知らせ
リュック・モンタニエ博士を偲んで
2月8日、フランス パリのアメリカンホスピタルにて、リュック・モンタニエ博士が亡くなりました。
89歳でした。30年来の良き友人で大里研究所の学術顧問を務めてくれました。
1983年のHIV発見後、1993年に、当時のユネスコ事務局長 マイオール博士とともに世界エイズ研究予防財団をパリ ユネスコに設立。予防教育とともに全ての患者が受けることができる治療方法の開発を進めました。2008年には、その功績によりノーベル医学生理学賞を受賞。モンタニエ博士のHIV発見のおかげで、世界中の研究者・製薬メーカーの努力により素晴らしい薬が開発され、当初 死の病と言われていたAIDSが、今ではウイルスをほぼゼロに近づけることができるようになり、慢性疾患になったのです。2008年12月10日のノーベル賞授賞式には私ども夫婦を招待してくれ、冬のストックホルムのグランドホテルで、彼とともに夢のようなノーベルウイークを過ごすことができました。その記憶はつい最近のことのように思えます。
また、ウイルス感染、神経変性疾患、慢性疾患が酸化ストレスとの関連であると考え、Redox制御できるFPP (Fermented Papaya Preparation) にいち早く注目し、2002年のローマ法王ヨハネ・パウロ2世との個人的謁見では、パーキンソン病の進行を改善するためFPPを直接手渡し独自の治療を勧められました。その後ローマ法王の健康状態が改善され、フランス・イタリアの新聞やT Vのトップで報じられました。
COVID-19においては、2020年1月の始めにはそのウイルスの発生国中国の広州市にいると電話をもらいました。今までのウイルスの研究から得た知識により、早い段階から持論を展開。彼の意見はあまりにも率直で人のためを思う意見ゆえ、多くの軋轢が生じました。しかし彼は、「自分はもう80代後半、怖いもの失うものもなく人のためになればと思い真実を述べる」と言っておられました。当初は、フランス人のほとんどが彼の意見をネガティブに捉えていましたが、今では多くの賛同者がいます。モンタニエ博士は、COVID-19は治療可能な病気であり、阻害剤によりウイルス量を減らして自然免疫で治すのがベストと考えていました。
2021年6月に行われたイタリア人ジャーナリストMargherita Enrico氏によるモンタニエ博士の最後のインタビューをここに紹介します:
Margherita: この新型コロナウイルス及び将来のパンデミックから身を守るための自然の方法はありますか?
Prof. Luc Montagnier: 多くの方法があります。ビタミンC、インターフェロン、サイトカインなどがありますが、とりわけ日本のパパイヤ発酵食品について私は長年言及しており、免疫システムの正しい機能と体の自然な防御を維持するのに役立つと確信しています。また、抗酸化システムを最適化してフリーラジカル、特に炎症によるダメージに作用し、感染を制御します。
モンタニエ博士との最後の会話は、2022年1月14日、イタリア ミラノに向かう途中の空港からでした。とてもお元気そうな声で、最後に「電話ありがとう ありがとう」と繰り返されたことが記憶に強く残っております。彼の持論は、「生きることは、人のために戦うこと」。5年前に心臓病の手術を受け、おそらくご自身で活動できる余命をわかっていて、最後の力を振り絞り、イタリア、ルクセンブルクの旅に出られたのではないかと思います。
猫が大好きで、私の岐阜の自宅にいらっしゃったとき、我が家の猫アストンとお昼寝をされていたことがとても懐かしいです。
最後になりましたが、モンタニエ博士の意思を受け継ぎ、予防教育により若者の健康を守るのと同時に、予防医学により高齢化社会における医療費削減に貢献できるよう努めてまいります。
大里研究所 |
■リュック・モンタニエ博士が2008年ノーベル医学生理学賞を受賞
http://www.ori-japan.com/news/backnumber/research/2008.html