2019/07/18

南極・昭和基地と大里研究所をライブ中継!
国立極地研究所主催のもと「南極教室」を開催

75日(金)、大里研究所のymaホールにて、「南極教室」が開催されました。今回の南極教室は、国立極地研究所主催のもと開催され、地球環境地球歴史、さらには宇宙にまで南極観測現在ってもらい、南極じて地球宇宙のことをえてもらうことを目的にし隊員とゆかりのある学校等開催されています。

大里研究所_開催記念.jpgのサムネイル画像

60次南極地域観測隊 越冬隊のみなさん

大里研究所は、第55次南極地域観測隊に選ばれて以来、今回が5度目の南極となる伊藤太市(いとうたいち)隊員の活動を応援しています。伊藤さんとの縁で開催地に選ばれ、今回の開催で3回目の南極教室になりました。

回目は、201758次南極地域観測隊として活動中の伊藤さんらと大野町立北小学校年生インターネット回線じてをしました。2回目は、翌年南極から帰国した伊藤さん大里研究所れ、前年南極教室けていた同小学校子供たちと直接対面して、南極仕事内容など様々をしてくださいました。

過去の様子はこちら↓からご覧になれます。

1回目:https://www.ori-japan.com/spcontents/antarctic/ori-messagelist/post-6.html

2回目:https://www.ori-japan.com/news/activity/58-2.html

今回は、大里研究所と南極昭和基地を衛星回線で結び、国立極地研究所から広報室の鈴木裕子さんに来てもらい、大野町立北小学校6年生34名が第60次南極地域観測隊の隊員の皆さんと交流しました。自身も南極観測隊として参加した経験を持つ鈴木さんから説明を聞いた後、いよいよ昭和基地と衛星回線が繋がりました。モニターに伊藤さんが映し出されると子供たちの歓声が上がります。

nankyoku3.jpg国立極地研究所の活動を紹介する鈴木さん

nankyoku1.jpg真剣にモニターを見つめる子供達

南極は日本からはるか14,000キロも離れており、時差は6時間。授業がスタートした午後2時半は、現地時間の朝8時半でした。今の時期、南極は真冬で「極夜」と呼ばれる全く日が昇らない期間だそうで、朝でも外は真っ暗です。このような厳しい環境の中で、現在第60次越冬隊31名が昭和基地で様々な分野の作業や研究に励まれていますが、忙しい仕事の合間をぬって、日本の子供たちに、南極のことを知ってもらいたいと頑張って授業の準備をしてくれました。

まずは、昭和基地の外の広場にいる伊藤さんに、南極ならではの実験を見せてもらいました。「今日は暖かい」と伊藤さんは言っていましたが、お湯を入れて放置したカップラーメンは食品サンプルのように凍り、濡らして振り回したタオルは見る間にカチカチになり、勢いよく空中に放り投げた熱湯は一瞬で凍りつき白い花火のように空中に広がりました。凍った作業服も見せてもらいました。なんでもすぐに凍ってしまう厳しい寒さの中で、隊員の皆さんが頑張っていることがよくわかりました!

HP_nankyoku_oyu.jpg放り投げた熱湯が凍る現象は「お湯花火」とよばれ、水ではこうはならないそう。
*写真は、国立極地研究所の「南極もっと知り隊」の冊子よりお借りしています。

伊藤さんの実験の後は、気象棟と中継をつなぎます。日本の南極観測隊が、オゾンホール(オゾンの穴)を世界に先駆けて発見した時に実際に使った、オゾンを観測する機械も見せてもらいました。

次に、現在新たに建てられている基本観測棟の内部を案内してもらいました。50年前に建てられた気象棟は大変古くなっているため、他の観測施設と共に、もうすぐこの基本観測棟に引っ越しするそうです。この新しい施設で、また世界を驚かせる新たな現象が発見されるかもしれません。

その後、中継場所は管理棟の食堂に作られたスタジオに移動。伊藤さん、隊長、他3名の隊員さんに、南極についてさらに詳しく教えてもらいました。

子供たちは、南極に行くには飛行機と氷を割りながら進む船を乗り継ぎ3週間もかかること、一旦南極に到着したら越冬隊は1年以上日本に帰れないこと、長い時間を昭和基地で共に過ごす越冬隊は、隊長を始め、研究者、生活を助ける人、通信をする人、雪上車を運転する人など、様々な分野の専門家で構成されていることなどを学びました。

nankyoku5.jpg

観測隊は様々な役割の人たちで
構成されています

nankyoku6.jpg

子どもたちの質問に
たくさん答えていただきました

そして、時間が許す限り、子供たちからの質問に隊員の皆さんが答えてくれました。主な質問は以下の通りです。

Q:南極の中での移動の苦労はありますか?

A:ドームふじ基地という施設は昭和基地から1000km離れたところにあり、今年の初めに3ヶ月かけて、10名で遠征を行ないました。夏でも-40度、3810mの標高で空気も薄いドームふじには、周りに基地もなく、インターネットもない。2ヶ月目に病気になり、医者として観測隊に参加している岡田さんに助けてもらいました。命の危険を感じながらの移動は本当に大変でした。(伊藤さん)

Q:研究結果について教えてください。

A:観測は60年前から始まりました。地球の歴史、生き物、温暖化について調べています。80万年前の氷を掘り出したりもしています。最も大きな発見は1984年のオゾンホール発見。現在は南極の氷を溶かす暖かい海の謎を調べており、今年も本格的に調査します。PANSYレーダーを使って大気全体の動きを調べています。(堤隊長)

Q:南極に行ってよかったこと、不便なことは何ですか?

A: 20年前にオーロラを写真で初めて見たことがきっかけで南極に行きたいと思うようになりました。1ヶ月前に初めて南極でオーロラを生で見ることができました。不便だと思うことは、日本にいれば簡単に買い物ができたりしますが、それができないことです。(和泉さん)

みんなワクワクしながら、画面に映る隊員さんに向かって質問していました。

nankyoku4.jpgカメラに向かって一人ずつ質問する子供たち

時間内に答えられなかった子供たちへの質問の回答が、翌週、昭和基地の隊員の皆さんから届きました。回答を読むと、昭和基地での厳しい環境の中でも、やり甲斐を持って仕事に取り組み、不便な生活も仲間同士で助け合いながら南極での生活を楽しんでいる様子が伺えます。ぜひ読んでみてほしいと思います:

HP_nankyoku_situmon.png

<質問と回答の全文はこちら>

伊藤さんは、「南極おじさん」というYou Tubeのチャンネルで、様々な動画を公開しています。こちらも面白く、為になるのでぜひ見てください。

https://www.youtube.com/channel/UCr5TVElmcSany2MVcEyY1ng

最後に、隊員の皆さんに手をふって中継を終えた後、大里研究所理事長の林から、南極で仕事をしている方の活動は、地球のことを知るためにとても重要な活動であり、私たちの生活にも関わりのあることを話しました。そして、はるか彼方から運ばれてきた南極の氷を子供たちに見てもらいました。南極の氷は、冷凍庫で作る氷と違い降り積もった雪からできています。そのため、圧縮されて氷になるとき空気も一緒に圧縮され、氷の中で気泡になります。気泡の中には、何万年も前の空気が詰まっているとの説明に子供たちも興奮気味でした。

nankyoku2.jpg

南極の氷
水を入れるとパチパチという音が聞こえます

nankyoku7.jpg

子どもたちも2万年前の
南極の氷に夢中です

素敵な授業を受けることができた子供たちはとても幸せだと思います。この中から、将来科学者になり、人のため、地球のために活動する大人になる子が出てくるのではと感じました。堤隊長、伊藤さん、越冬隊の皆さん、ありがとうございました!

penguin.jpg

今回の南極教室の様子は、ぎふチャン「Station!」をはじめ、テレビや新聞に紹介されました。

7月6日付 『岐阜新聞』県内総合面

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7月10日付 『中日新聞』西濃版

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