研究論文

ESRイメージとL-バンドESR分光法を用いた自然発生高血圧ラットの脳におけるレドックス反応のモニター試験: 酸化ダメージにおけるパパイヤ発酵食品(FPP)の作用の評価

Assessment of the effect of fermented papaya preparation on oxidative damage in spontaneously hypertensive rat brain using electron spin resonance (ESR) imaging and L-band ESR spectroscopy.

Journal of Functional Foods 1(4):375-380, 2009

加齢や心疾患、神経疾患を含む生物学的、病理学的なプロセスには、活性酸素や活性窒素のストレスによるタンパク質等の機能障害のメカニズムが大いに関与している。生体における抗酸化機能を持つ食品の有益性の示唆は高まり続けているが、信頼できる評価法はいまだ限られている。電子スピン共鳴(ESR)により、SHRラットモデルの脳における酸化損傷とレドックス反応を評価する方法が報告されている〔Lee, M.-C., et al (2004) Assessment of oxidative stress in the SHR brain using electron spin resonance (ESR) imaging and in vivo L-band ESR. Hypertension Research, 27: 485-492.〕。
MC-PROXYL(血液-脳関門を透過するスピンプローブ)の分布を2D ESRイメージとして再現し、SHR脳内でのレドックス制御にパパイヤ発酵食品FPPが発揮する能力を評価することができた。FPPを50mg/ラット1体/日で 5-7ヵ月餌に混ぜて与えることで、ラット脳内のMCPROXYLの代謝が促進され、FPPがSHR脳内で誘導されるレドックス防御反応を活発にしたことを示唆した。この点から、in vivoでの評価法として、脳において、活性酸素や活性窒素によって引き起こされる損傷を制御する補完薬としての、神経疾患の予防の可能性を評価できる方法を示すことができた。

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Figure 1. SHRラット脳におけるMC-PROXYL 代謝のESRイメージ. MC-PROXYLを投与後30秒の保持時間をおいて、2.5, 4.5, 6.5, 8.5,10.5, 12.5, 14.5, 16.5 , 18.5 , 20.5 分後にESRにて測定。 シグナル強度は16色の色によって区別される (白を100としてシグナル強度が 10% 減少する毎に色を変えて表示している。白→赤:シグナルが強い:フリーラジカルが多く発生している。時間経過とともに代謝され、拡散しながら、青→紫:シグナルが弱くなる。)

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Figure 2. FPPを与えた後のSHRラット脳におけるMC-PROXYL 代謝のESRイメージ. MC-PROXYLを投与後30秒の保持時間をおいて、2.5, 4.5, 6.5, 8.5,10.5, 12.5, 14.5, 16.5 , 18.5 , 20.5 分後にESRにて測定。 FPPを与えないラットの脳と比較して、フリーラジカルの代謝が早く、拡散も少ない。

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Figure 3. (A) SHRラット脳におけるMC-PROXYL 代謝のESRシグナル強度の減少を示す。 通常のMC-PROXYL代謝 (●), FPPを与えた場合のMC-PROXYL 代謝(○). FPPを与えたラットの脳のほうが、MC-PROXYLを代謝するスピードが速い。 (B) 7ヶ月FPPを与えた後のMC-PROXYL代謝率。長期間の摂取によりMC-PROXYLが減少するスピードがさらに速くなった。 平均 ± SEM (n = 3?6). *P < 0.05 vs. control.

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