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研究論文・研究成果

2017/12/13学術発表関連研究論文・研究成果

パパイヤ発酵食品の免疫改善による慢性創傷の治癒促進効果を
2型糖尿病および肥満患者の臨床研究で確認
外科領域で世界的に極めて稀なケースを発表

2017年10月、FPPの新しい論文が発表されました。

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オハイオ州立大学のSashwati Roy教授らのグループによる慢性創傷を持つ患者を対象にしたFPP(パパイヤ発酵食品)の研究において、外科領域で世界的に極めて稀なケースとして、発酵食品が2型糖尿病および肥満の被験者の慢性創傷の治癒を促進することが確認され、本研究は学術研究雑誌Antioxidants & Redox Signalingの出版に先駆け、2017年10月16日に電子出版されました(doi:10.1089/ars.2017.7304)。

慢性創傷は、数ヶ月以上傷の治らないことが続く状態で、糖尿病・動脈硬化症等の血流障害が原因となり潰瘍、床ずれなどにより発症します。米国では、糖尿病患者の慢性創傷が、入院の長期化や壊疽、壊死による足の切断を招くなど深刻な社会問題となっており、日本でも社会の高齢化に伴い糖尿病患者の増加が著しいことから問題の深刻化が懸念されています。
傷を治すプロセスが開始されるためには、マクロファージなどの免疫細胞でNADPHオキシダーゼ(NOX)と呼ばれる酵素を活性化させ、炎症を抑える必要がある。NOXの活性化は、強力な抗菌作用を持つ活性酸素種(ROS)を作り出し、体内に入り込んだウイルスや細菌を死滅させることが重要な機序であり、この働きを『呼吸バースト』と呼びます。

FPPは、パパイヤ発酵食品(Fermented Papaya Preparation)のことで、自然の恵みであるパパイヤを独自の技術で発酵させた食品です。FPPは抗酸化システムの機能向上、免疫調節機能、抗炎症作用をもつ食品として、数多くの臨床研究が報告されており、世界の様々な大学や研究機関で研究が進められています。

本研究は、『May Dietary Supplementation Augment Respiratory Burst in Wound-Site Inflammatory Cells?(ダイエタリーサプリメントは創傷部の炎症細胞における呼吸バーストを増強し得るか?)』というタイトルで発表されており、慢性創傷で陰圧閉鎖療法を受けている患者22名を対象とし、標準治療を行いながらFPPを1日に9g摂取するグループ(標準治療+FPP摂取群)と標準治療のみを行うグループ(標準治療群)に分け11週間の試験を行いました。検査項目として、傷体積の測定、ROSの測定、血液検査を行いました。

その結果、標準治療+FPP摂取群の免疫細胞は、標準治療群の同細胞と比較してROS産生が有意に高いことが分かりました(図1)。また標準治療+FPP摂取群において傷の治りが促進されたことが認められました(図2)。特筆すべきこととして、FPPの主成分はグルコースであるにも関わらず標準治療+FPP摂取群のヘモグロビンA1c値は上昇しませんでした。以上のことから、FPPは免疫細胞においてNOX活性を促進することで傷の治る過程を改善することが示唆されました。


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Roy教授は、糖尿病モデルマウスを使ったFPPの創傷治癒についての研究や、糖尿病患者を対象にしたFPPの臨床研究も行っており、これまでも糖尿病患者がFPPを摂取しても安全であること、FPPが免疫の低下している糖尿病患者の細胞エネルギーを増加させることを明らかにしてきました。今後、長期的な臨床研究は必要ですが、食品と標準治療の併用による慢性創傷治療の先駆けとして、FPPは糖尿病患者を含む外科手術を予定している患者のQOL改善に繋がる可能性を秘める食品です。