研究所の紹介

大里研究所について

大里研究所(Osato Research Institute、略称ORI)は、"Healthy Aging" -健康に年を重ねること-をテーマに高齢化社会における予防医学による医療費削減への貢献を目指し、アメリカやヨーロッパなど世界の様々な大学や研究機関と共同でFPPの研究を行っています。2005年には高齢化社会における医療費削減を目的に、スイスにて"(財)大里研究所"を設立しました。
ここでは、理事長をはじめとしたごあいさつ、FPPの研究者や施設概要などをご紹介します。

大里研究所理事長林 幸泰

林 幸泰
ウィティア大学 理事
オハイオ州立大学 学長会メンバー
財団法人世界エイズ研究予防財団理事兼
日本事務所代表

日本は、65歳以上の人口が29.3%と寿命が延びて素晴らしい長寿国となりました。
反面、医療費は年々増加し、このままでは国の財政は破綻してしまいます。副作用がなく病気を予防できる予防薬の出現が期待されますが、薬とは、本来医師による診断後に初めて処方されるものであり、病気になる前に使われる「予防薬」は、厳密には薬の条件から外れてしまいます。

大里研究所(ORI)が考える第一の予防薬は、『教育』です。
若者たちに、食生活や日々の行動でいかに慢性疾患や感染症を防ぐことができ、それが国の医療費削減に繋がるかを教育すべきです。エイズは教育や知識によって予防ができる典型的な感染症で、予防による経済効果は絶大です。ORIは、HIVの発見で2008年ノーベル生理学・医学賞を受賞したモンタニエ博士の依頼を受け、彼が1993年に当時のユネスコ事務局長のマイヨール博士と設立した世界エイズ研究予防財団の日本事務所を開設(1998)、未来を担う小・中学生の子どもたちへのエイズ予防教育を続けています。
【参考資料Ⅰ:世界エイズ研究予防財団日本事務所】

第二の予防薬の可能性は、日本人の食生活に伝統的に取り入れられてきた『発酵食品』です。ORIは、超高齢社会における予防医学による医療費削減をテーマに、FPP(パパイヤ発酵食品)の研究を30年近く続けています。FPPは、長年の臨床研究により「抗酸化・抗炎症・免疫調整」の作用が認められています。糖尿病に関する一連の治験から、血糖値に影響を与えず、ATP産生およびミトコンドリア活性の促進により免疫を高めることが明らかになっています。これらの研究結果から、2018年に日本国特許を取得し、さらには慢性創傷の治癒促進も報告されています。また、ORI では、加齢に伴う脳の糖代謝機能の低下が認知症の原因のひとつだと考え、認知症予防の研究にも力を注いでいます。FPPは、アルツハイマー病やパーキンソン病(PD)患者の酸化ストレスを抑え、PDでは運動・認知機能関連の症状改善が明らかになっています。さらに、電磁波過敏症では、脳の血流低下・頭痛・短期記憶等の改善結果から治療法として特許を取得しています(米国2021, 日本2022)。2024年には、染色体の末端を保護し細胞の寿命を司るテロメアの短縮の改善、およびテロメアの長さを保つ酵素・テロメラーゼ活性効果ついても特許を取得しています。
【参考資料Ⅱ:大里研究所 研究論文紹介】

第三の予防薬は、リタイヤして社会との接点が無くなってしまったシニア世代の方に『生きがいの場』を提供することだと考えています。ORIでは、休耕地となった柿畑の有効利用を町から依頼され、ORI WINE PROJECTとして、ビオ(BIO)農法によるブドウ栽培(シャルドネとピノ・ノワール)を2012年に始めました。高温多湿な気候でのピノ・ノワールの無農薬栽培は、ワイン醸造学の世界的な権威であるUC Davisの専門家にも不可能と言われましたが、挑戦こそ夢がある!とシニアの方たちと共に力を注いでいます。2019年には、収穫したブドウから初めてのワインが誕生しました。300坪のブドウ畑からスタートしたプロジェクトは、柿畑も残しつつ、今では1.5万坪にも広がるブドウ園に。生きがい作りに貢献することでシニア世代の健康を保ち、出来上がったワインは未来の子どもたちの夢をサポートするチャリティーに役立てる、そんな夢を描いています。

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大里研究所所長 Maki Osato, Ph.D.
大里 真幸子博士

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米国カリフォルニア州ウィティア大学
理学部卒業
大阪大学大学院医学系研究科内科系臨床医学
修士課程修了
大阪大学大学院医学系研究科内科系臨床医学
博士課程修了
専門:血液・腫瘍内科学
名古屋市立大学整形外科 研究員

予防医学による健康寿命の延伸を目指して

大里研究所は、当所開発のFPP(パパイヤ発酵食品)について、国内や欧米の大学・研究機関との研究を続ける中で、これまで54報の論文を国際学術誌に発表してきました(2025年3月現在)。FPPは、高い安全性に加えて、細胞内のエネルギー産生・免疫機能・レドックスバランスの向上が認められており、豊富な臨床研究に裏付けられた科学的根拠に基づく改善効果を持つ、極めてユニークな発酵食品です。また、30年以上にわたる研究の成果として、以下の特許を取得しています。
1. ATP産生促進剤及びミトコンドリア活性促進剤並びに免疫賦活剤
(日本, No. 6401792)
2. FPPを用いた電磁波過敏症の治療法 (米国, No. US10,993,980 B2))
3. 電磁波過敏症を治療するための医薬組成物 (日本, No. 7026387)
4. テロメアを伸長するための組成物 (日本, No. 7449588)

これらのカギとなるのが、最新の研究により明らかとなった、FPPによるNrf2の活性化です。Nrf2は、細胞がストレスや有害物質にさらされると活性化される転写因子(遺伝子の発現を制御するタンパク質)です。また、身体の守る防御システムとして働く抗酸化酵素や解毒代謝酵素の生成を促進し、細胞を保護します。そのため、慢性炎症、免疫老化、がんなど加齢に関連する疾患の原因となる酸化ストレスの抑制や抗炎症作用、さらにはミトコンドリアの働きの維持など重要な役割を担っています。

FPPは、Nrf2を活性化することにより、抗酸化・抗炎症・免疫調整などの身体に備わる複雑な機能を改善します。特に、FPPは抗酸化剤では難しい遺伝子レベルでのNrf2の発現を増加させ、抗酸化や解毒代謝として働く遺伝子(HO-1, NQO1)を活性化することが、高齢者においても確認されています。

FPPによるこの効果は、酸化ストレスや慢性炎症に関連する疾患の予防に加えて、治療薬との併用による、より優れた病態改善効果が期待できます。さらに、副作用を心配することなく日常生活に摂り入れられるため、医療費削減や生活の質(QOL)の向上にも貢献するツールとして活用できます。

大里研究所は、FPPの医学研究と地域のシニアコミュニティとの連携を通じて、人々が末永く健康的に自立して過ごせるよう、取り組みを進めています。特に運転能力の維持は、高齢者の移動手段のみならず、社会とのつながり、独立性、脳の活性およびQOLの維持、すなわち「自活」を支える重要な課題と捉え、支援に向けた研究も進めています。FPPによる健康維持を目指した「予防策」としての情報発信に加え、身体機能の「リカバリー」を目的とした臨床研究を行い、超高齢社会における医療の効率化とQOL向上につながることを願っています。

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大里研究所副所長Kazuhiro Katada, M.D., Ph.D.
片田 和広博士

片田 和広博士
1972年 大阪医科大学卒業
1987年 藤田保健衛生大学衛生学部教授
(診療放射線技術学科)
2001年 藤田保健衛生大学医学部
放射線医学教室 主任教授
2014年 藤田保健衛生大学名誉教授
2014年 藤田保健衛生大学医学部
先端画像診断共同研究講座教授(~2019)
1993年 機械振興協会賞
(通商産業大臣賞)
2009年 第8回産官学連携推進会議
(経済産業大臣賞)
2017年 第1回日本医療研究開発大賞
(厚生労働大臣賞)

医学・医療の世界では、患者さんへの効果・効能と伴に、常に副作用・副障害を考え、そのバランスを取ることが重要です。例えば私の専門の放射線医学では、画像診断の有用性と伴に、放射線被曝低減や造影剤の副作用の最小化を常に考慮しなければなりませんでした。

これに対してFPPは、30年の歴史を通して副作用の報告はなく事実上ゼロである一方、数多くの効能が得られる点が医療とは大きく異なり、医学者にとっても新鮮な驚きを与えてくれます。
近年では、その作用機序も明らかとなり、それと共に適応も拡がりつつあります。 そのポテンシャルの大きさには現在のところ限りが見られず、ミーティングの度に新たな適応の可能性が浮かび上がるほどです。大里研究所の使命は、今後も世界の研究施設と手を携え、FPPの新たな可能性を探っていくことと考えます。

研究者紹介

FPP(パパイヤ発酵食品)の研究を長年行っている共同研究者の先生をご紹介します。

  • フランシスコ・マロッタ教授
    Francesco Marotta, MD, PhD
    フランシスコ・マロッタ教授
    ReGenera R&D International for Aging Intervention, Milano, Italy
  • クリスティアン・リーベンバーグ教授
    Christiaan Leeuwenburgh, PhD
    クリスティアン・リーベンバーグ教授
    University of Florida, Florida, USA
  • チャンダン・K・セン教授
    Chandan K Sen, PhD
    チャンダン・K・セン教授
    University of Pittsburgh, Pittsburgh, USA
  • 2022.09.27_Berpomme.jpg
    Dominique Belpomme, MD, PhD
    ドミニク・ベルポン教授
    Association for Research Against Cancer, Paris, France
    European Cancer and Environment Research Institute, Brussels, Belgium
    Paris V University Hospital, Paris, France
  • 2022.09.27_Fais.jpg
    Stefano Fais, MD, PhD
    ステファノ・ファイス教授
    Istituto Superiore di Sanità, Rome, Italy





施設概要

大里研究所Osato Research Institute

財団登録スイス 
Cours des Bastions 5 CH-1205 GENE`VE SWISS
理事長 林 幸泰

所在地 〒501-0501 岐阜県揖斐郡大野町稲富1956
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TEL 0585-34-3830
FAX 0585-34-3833
所 長 大里 真幸子(Maki Osato)
活 動 "Healthy Aging"をテーマに予防医学による医療費削減を目指しFPPの研究を行っています。